メンバー対談 > Delibotチーム インタビュー

DIALOGUE

  • Koichi

    東京理科大学大学院理工学研究科情報科学専攻、理工学修士。パイオニア、ルネサスエレクトロニクスを経て2019年に参画。2022年より現職。

  • Aki

    武蔵工業大学機械工学科卒業後、㈱アマダにて板金加工の自動化に取り組む。産業用ロボットシステムの開発責任者、技術管理部長を担当したのち入社。

  • Satoru

    長岡技術科学大学機械創造工学専攻修了。災害対応ロボットやシステム安全を学び、トピー工業でロボット機械設計を経験後、入社。

  • Bruce

    アラバマ大学ハンツビル校機械工学科卒業。アリゾナ州立大学デザイン専攻。小松製作所に入社し、建設機械の運転席を設計、セールスエンジニアとして販社に出向後、CRに入社。

■まずは自己紹介からお願いします。

Koichi 2019年に入社し、現在はVice President of Productとして、コネクテッドロボティクス(以下CR)が目下一番力を入れているDelibotを見ています。プロジェクトマネジメントのほか、プロダクトの方向性を決めたり、ロードマップを作成したり、開発全体の方向付けや管理もしています。

Aki 2023年の4月に入社しました。 食品工場向けの部門でDelibotを担当するマネージャーとして、現在はとある食品メーカーさんのプロジェクトに携わり、お客様と一緒に製品を作り込んでいるところです。ちなみに、CRで“プロジェクト”と言うと、特定のお客様に対する開発そのものを指します。SIer業界で“プロジェクト”と言うときのそれと同じですね。特定のプロダクトを構成する複数業務のうちの一つということではありません。

Bruce 入社してちょうど1年経ったところです。HWのマネージャーを務めていますが、マネジメント業務以外に製品開発エンジニアとしての業務にも携わっていて、省スペース型のDelibotをSatoruさんと開発しました。頑張って8ヶ月ほどで仕上げたこの製品は今、実際にお客様に使っていただいています。

Satoru 2021年の9月に入社し、入社当初はフライドポテトロボットのHWとシステムインテグレートを担当していましたが、今は食品工場向けのDelibotの開発をしています。ついこの前までBruceさんと一緒に省スペース型の作り込みを行っていましたが、現在はAkiさんの話に出てきたプロジェクトに携わり、原理試作的なことを行っています。

Delibotは現場との密な関係性の賜物

■各プロジェクトは今どのフェーズにありますか?

Koichi Delibotは「食産業の現場で使えるものを6か月で作る」という経産省のプロジェクトとして、2021年8月頃から試行錯誤が始まりました。今は安定して稼働するものがついにできた!という段階です。現時点ではポテトサラダやマカロニサラダなど対応可能な品目は限られるので、対応品目をさらに増やしていかなくてはなりませんし、やるべきことはまだまだある状況ですが……。そうはいっても、お客様が一番助かるのは何か、その中で我々が作れそうなものは何かを探すところから始めて、正直できるかどうかさえわからない中で必死にやってきたことを思うと、ここまで来たかと感慨深いです。

Aki 私が携わっているプロジェクトは今まさにそういうフェーズです。できるのか?できないのか?と不安定なところも確かにありますが、お客様と一緒に未知の課題に取り組んでいると、新しいチャレンジをさせてもらっているという手応えがありますね。

Koichi お客様と一緒になって開発していくというスタンスは大切だよね。お客様と密な関係性を築けていたことで、開発の困難さをちゃんとわかってもらえていたことが幸いでした。一方的に要求してくるのではなく、「現場の対応をこうすれば実現できる」といったように歩み寄ってくれたりもして、一緒になって落としどころを探してもらえたからこそ6ヶ月間という超短期間でDelibotを形にできたと思います。

■Delibotはこの先どのように進化させていくのですか?

Koichi そこは本当に悩ましいところで、ずっと悩んでいます。CRの技術的な強みや資産は何かといえば、基本的にはロボットを動かすところと、見た目よく適正重量で盛り付けるハンドリングです。そして、それらに関する技術やナレッジの蓄積がDelibotであり、そのコアの部分はやはり「見た目は違っても中で使われているものは同じ」というプロダクト感なのかなと。だから、形がどう変わろうとDelibotでいいじゃないかと割り切っている部分はあります。

思いついたら即トライ!これこそがCRの良きカルチャー

■Delibotは省スペース型になってどういった点が変わりましたか?

Bruce だいぶ部品数が減ってシンプルになりました。初期のプロダクトは技術の見本市みたいな感じでかなりリッチな作りをしていましたが、部品が増えれば増えるほど複雑になって、安定性も下がってしまう。それに、CRは本来強みとするロボット制御の部分を担うという思想だったため、内製していたのはハンド部分の2パーツだけ。HWの大半は他社製だったこともあり、安定性に問題もありました。

Satoru あれはあれで良かったし、短期間であそこまで作り込まれていたのはすごいとは思うんですけど、やっぱり詰め切れていない部分がありました。たとえば清掃性の観点なんかももっと極めることができたと思います。

Bruce 先々いろんなところに売っていくことを考えると安定性や信頼性は欠かせないので、やっぱりHWも自前でやらないとダメかなという話になっていきましたよね。

Koichi そう。人数の足りていない状況でもアクチュエータをエアから電気に変えたりとか、ギリギリまで頑張って省スペース型を組んでくれたよね。

Bruce 自分は実はエアも電気も設計したことがなかったんですが、調べてやってみたら意外となんとかなったんですよね。聞けば皆んな教えてくれますし。今回の作り込みで、CRでは「お客様にとってのベストだと今この瞬間に思った手段」を一致団結で即座に取れるんだということを改めて感じました。

Satoru 食品工場向けのDelibotだからこそ、ゴム手袋や衛生服を身につけた人たちにとって、いかに操作しやすいものになっているかみたいなところを考えたり、最後まで「お客様にとってのベスト」を追求しましたよね。

Bruce 確実なものを作れるようにたくさんのゲートを設ける承認プロセスの仕組みが良くないというわけではないけれど、誰の承認を得ることもなく「これだ!」と思ったことを即試せるのは間違いなくCRの良さですね。お客様にとって最善の方法であるなら、HWかSWかという部門の垣根さえ自由に超えられます。

Aki CRの“試しやすさ”には私も入社して驚きました。職場に3Dプリンターがズラッと並んでいて、 何か思いついたらその場ですぐに形を作ってみる。今日何かを思いついた瞬間に部品を購入して、翌日にはもう仮説検証できる。未知のものを実験するハードルがやたら低いのはCRの大きな特長だと思います。

一点物で終わらせない。必ずどこかに環流させるという意識

■量産性の点ではどうですか?

Bruce 量産対応できるメーカーさんを探しているところです。10台くらいならうちでもなんとか作れますが、何十台も生産していくわけにはいかないので。ただ、どんな食品工場にも幅広く受け入れられるほどの性能にはまだ達していないので、もう1段練り上げようとしています。

Satoru BruceさんとDelibotの仕事をするようになって、量産に対する意識が足りていなかったことに気づきました。試作業者さんに外注するときも、図面を書かずに部品の3Dデータだけ送ることもありましたし。

Bruce 私はもともと量産メーカー出身なので、常に量産を前提とした考え方をしているようなところがあるというか、当たり前のように量産前提で動いてしまう感じですね。

Satoru 今回の省スペース型では基本的に全部品について図面を作成しています。それが今後の量産しやすさにつながっていくはずだと思います。

Koichi プロジェクトはやはりプロダクトに紐づかないといけない、単発で終わっちゃいけないんですよね。一見すると一点物という場合にも、結果的にどこかに還流していくべきという考えを軸にしておきたいです。

CRでプロジェクトリーダーとして働くということ

■プロジェクトリーダーのお仕事についてお聞かせください。

Aki 決して楽ではありませんが、チームメンバーにおおいに助けられていて、プロジェクトリーダーとしては非常に恵まれた環境にいるなと感じています。自分の携わっているプロジェクトに対する今の私の理解は「受注設計と受託研究の間ぐらいのもの」です。受注設計ではなるべく既存の技術を組み合わせて安全な機械を設計していくのが定石ですが、私が今携わっているプロジェクトはそれとはちょっと違う。研究的な要素が非常に多いものの、研究論文ではなくシステムを納品するという点で受託研究ともまた違うからです。未知のものに挑戦しながら、最終的にはきちんとしたシステムを納めるというのは非常に難易度が高いです。それだけに、プロジェクトリーダーとして悶々と悩むことも正直ありました。

でも、メンバーの皆さんの未知への挑戦に対するモチベーションが異様に高いことに気がついたんです。自分が考えていかなくてはいけないというプレッシャーがプロジェクトリーダーにはありますが、実は他のメンバーの皆さんも豊富なアイデアを持っていて、そうしたアイデアに触発されてプロダクトが進化していきます。実際、「こんなのはどう?」とメンバーが描いてきたハンド部分の絵に私がちょっと手を加え、数日後に「もう少しここを変えたほうが良さそう」などと返ってきて……と2、3回やりとりを繰り返した結果、今、ものになりつつあります。

Koichi 他社では営業マンがお客様との調整を受け持つところ、CRではプロジェクトリーダーも直接お客様と関わることが多いです。これは、お客様に対してできるだけオープンに報告したり共有したりするためです。自分たちが困っていることに対する既存の解決策は存在していないから、新しく作り出さなくてはならないというところに立ち返って期待を寄せてくれるお客様は多いです。

現場で課題があっても、お客様側からもアイデアを積極的に出してくださったり。。私たちと一緒にトライして、一緒に失敗して、開発の難しさを共有する。そんな共感が生まれるからオペレーション面で工夫して歩み寄るといったこともしてくださるんですよね。もちろん我々の側でも、お客様の要望を汲み取りつつ、納得感を得ながら進めていくプロセスを大切にしています。こういった人間臭いやり方でやっていこうと思うと、営業サイドに任せっきりではまず無理で、プロジェクトリーダーが直接対応していくほかありません。だから、そうした調整をツラいと思ったことはほとんどないですね。

理想的なチームは、ある意味必然的に生まれるチームワークから生まれた

■ チームワークはどうですか?

Satoru 多様なプロフェッショナルがいるので、頼れるところは頼りながら、自分のできることをやっていくというのがCRでのチームワークかなと思うのですが、Delibotチームもまさにそうなのでチームワークは良好かと思います。意見交換もしやすいですね。

Bruce やるべきことが極めて多岐にわたるから、1人で完結するのは不可能という実情もあるよね。

Koichi 確かに。課題が大き過ぎて一人ではとても抱えきれないから、他の人のアイデアをもらったりしていかないと立ち行かない。

Aki 私は社内で最年長ですが、ここにいる皆さんと対等に教え教えられながら仕事をしています。誰もがスペシャリストであり、それぞれの分野における専門的な知識も豊富。完全にフラットな状況で働かせてもらっていますね。若い人たちから「ちょっとお時間よろしいですか」みたいに遠慮がちに話しかけられるようなことはCRではまったくありません。

Bruce 人数が少ないから、年上だから年下だからなんてことを言ってる余裕はないですしね。その技術にどれだけの情熱を注いできたかが基準。技術を持っている人が師であり、年齢や社歴は関係ない。

Satoru 事実、CRでは年齢にかかわらず製品に対して自分の意見を反映しやすいですよね。

Bruce エンジニアはもの作りが好きなのだから、自分が設計しているものを前にして物怖じするような人は元来いないはずなのに、会社の空気に黙らされてしまっているケースが多いように思います。黙っていることに慣れてしまった人も、CRに来れば自分を取り戻せるんじゃないですかね。

Koichi そういう風に活発な意見交換が行われているから課題共有が自然とできていて、どこに向かうのかも全員がわかっている。だから、ああしろこうしろと言わなくてもそれぞれが自発的に動いてくれていて、プロジェクトリーダーとしては助かっています。

未知の領域へのチャレンジを楽しめるプロフェッショナルを歓迎!

■ 新たな人材が続々と入社しているCRですが、どんな人と一緒に働きたいですか?

Satoru 僕は、いろんなプロフェッショナルがこれからも増えていってほしいなと思っています。大企業に比べ社員数がはるかに少ないので、各メンバーの突出した専門性が会社全体で見たときにやっぱり少し凸凹になっているように思うんです。凹んでいる部分を穴埋めできるようなプロフェッショナルがジョインしてくれれば、会社としてさらに力強く成長していけると思います。

Aki 食べ物というカテゴライズし難いものに対してチャレンジしている会社なので、自分の専門領域とは別の未知の領域にも挑んでいきたいというスピリットを持った人とぜひ一緒に働きたいなと思っています。

Bruce チャレンジしたいタイプであれば、入社して後悔するようなことはまずないでしょうね。働きやすさの点で言えば、フラットでハラスメント的なこととも無縁なので、大企業で抑圧されて思い通りに働けていないことに不満を持つ方も安心していただけると思います。

Koichi 固定した組織で与えられた仕事だけやって満足しているのではなく、いろんな人やいろんな技術との関わりによって自分自身が変化すること自体を楽しめる人にジョインしてもらえたらと思います。Delibotチームは当初4名でスタートして、今はインターンも含めると10名を超えています。会社自体もどんどん変化していて、そういった変化の渦中に身を置くことはすごく価値ある経験だと思いますね。

=========================================

ロボティクスの根幹といえるロボット作りに従事しているDelibotチームの皆さんにお話を伺いました。

Delibotのさらなる進化により「食産業をロボティクスで革新する」というCRのミッションがより高次元に達成される日の到来が楽しみです!