メンバー対談 > AI Inspectionチーム インタビュー

DIALOGUE

  • Jinze

    東京大学でコンピュータービジョンと機械学習に関する博士号を取得後、株式会社会社MUJINに入社。コンピュータービジョンの専門家として数十項の特許を取得し、実際の製品に活かす実績も経て入社。

  • Gab

    Federal University of Para卒業、Federal University of ABCで機械学習と画像認識を専攻し修士号を取得。ブラジルでIT企業勤務を経てAIエンジニアとしてCRに入社。

  • Ken

    神戸大学大学院 機械工学科修了。​化学メーカにて生産技術エンジニアとして現場の生産性改善や自社生産設備の設備企画/導入などの経験を経て入社。​

本日はAI検品チームの皆さんに、ソフトウェア(以下SW)分野とハードウェア(以下HW)分野が混在する、AI検品のお仕事について伺っていきたいと思います。

■まずは自己紹介からお願いします。

Jinze ソフトウェアチームマネージャー、Vice President of SW & AIであり、AI検品チームの責任者を務めています。

Ken 僕はHWとの兼務で、プロダクトとプロジェクトのマネジメントをメインにやっています。検査システムの軸はSWですが、HWも多少絡んできます。具体例を挙げると、食品工場で検査対象を流すベルトコンベア、流れてきた検査対象を撮影するカメラ、それを照らす照明などは全てHWです。

JinzeさんがSW寄りのマネージャーである一方、僕はHW寄りの領域を担当し、マネジメントしています。それから、チームメンバーの採用にも少し関わっています。

Gab このプロジェクトに、その立ち上げ段階からエンジニアとして携わっています。といっても、単なるSWエンジニアの仕事にとどまらず、AIインテグレーションや機械学習の開発に必要な仕事であれば幅広く対応しています。Jinzeさんがアイデアを出して、私がそれを技術的に実現するという感じです。

AIプラットフォームで広がるAI検品SWの可能性

■ AI検品チームが今取り組んでいるプロダクトについて教えてください。

Ken 今私たちが作ろうとしているのは、食品工場向けの検査システムです。コネクテッドロボティクス(以下CR)はロボットの会社ですが、 このプロダクトに関してはSWメインとなっています。ひと口に検査と言ってもいろいろありますが、直近のターゲットははみ出し検知です。惣菜などが容器からはみ出していないかのOK/NGを判定するSWですね。

■ AI検品システムの開発のベースとなるAIプラットフォームというのはどういうものですか?

Jinze AI検品システムの中にはオンリーワンのSWが入っていますが、将来的にはオンリーワンではなく、いくつものSWが世に出ることにつながるようなAIプラットフォームを実現したいと考えています。

各種機能を盛り込んだAIプラットフォームをベースにして、さまざまなAIプロダクトを開発することを現在検討しています。たとえば「3Dセンサーを使って深さを確認する機能」「ピックと把持をチェックする機能」を用いて、深さや、ハンドで掴んで持ち上げて運ぶプロセスを毎回チェックする新生Delibot。あるいは「データ分析する機能」を用いて、冷蔵庫のような汎用機器のデータをAWSで収集して分析するプロダクトなども考えられます。

AIプラットフォームとAI検品SWの関係性は、ゲーム機のイメージに近いです。プレイステーションのような汎用性の高いゲーム機がありますが、それを使って実際にユーザーが楽しむのは特定の一つのゲームですよね。

AIプラットフォームの開発は、モジュラー間の連携をどうするか、ドキュメンテーションをどういう風にするかといったことも含めいろいろなことを考えながら進めていかなくてはなりません。ですから、AI検品チーム内だけで進めようとするのではなく、SWチームの他のチームとも連携してAIプラットフォームを作るのが、現在の私の仕事の一つです。

AI検品チームの日々の仕事

■ AI検品チームでは具体的にどういった仕事を日々しているのですか?

Gab 基本的な仕事の流れとしては、検査システムに関する要望を受け、必要な情報を収集し、チーム内で検討し、関係各社と情報共有しながら開発を進めていきます。営業部門やお客様からのリクエストを受けた際に真っ先に必要となるのは、何がターゲットなのか、条件はどういったものか、検査システムに求められる速度や精度はどの程度かといったことの把握です。

次に、検査対象や容器の特性といった初期データを収集します。そして初期データが集まったら、どのようなアプローチ方法を取るべきか、どのくらい時間がかかりそうかといったことをチーム内でディスカッションします。そしてAIやコンピュータ・ビジョンを用いた検査機能を設計していくわけですが、私たちは今ちょうどこの段階にいます。

続いてUIデザインも進めていきますが、同時に必要なのがHWとのインテグレーションです。現状、AI検査システムのプロジェクトでは、HWの部分は他社が担当し、CRはSWの部分を受け持つという協業の形を取っています。ですから、HWのボタンや各種シグナルに対応するSWを開発するために、HWを担当する他社と綿密に話し合います。開発に当たっては、ハードコーディングではなくコンフィグ変更で対応できるような汎用性を持たせた形を念頭に進めていくのが基本です。そうすれば将来的に複数の異なる機器に流用できますから。日々の仕事の流れは概ねこんな感じです。

Jinze マネージャーの仕事としては、SWチーム全員での議論、開発スケジュールの調整、プロダクト開発の方向性の設定、人事面ではスキルやロードマップを決めたりもします。基本的には開発の仕事が6割以上と多いですが、外部のカメラメーカーや産業用PCメーカーへの問い合わせや、他チームのマネージャーとの会社全体の課題についての話し合いを行なったりもします。

言語が違っても、専門分野が違っても

■ AI検品チームには多国籍ですし、今後も外国人メンバーが続々ジョインする予定ですよね。言葉の問題はないのでしょうか?

Gab チーム内での会話はほとんどが英語ですし、書類もすべて英語で書かれているので、AI検品チームに所属するエンジニアとしては必ずしも日本語を習得している必要はないと思います。とはいえ、お客様とのやり取りや、同じ社内でも営業部門のように英語がデフォルトではない部門との話し合いなどでは、日本語の理解が求められる場合もあります。ただ、これも人によりますね。SW開発者に徹したいという人なら、日本語はまったく必要ないといってもよいと思います。

でも、現場に行ったり、他社のエンジニアとコミュニケートしたりといったことを想定するのであれば、やはり日本語を理解できたほうが良いでしょう。あるいは、日本語を話せるJinzeさんやKenさんに同行してもらう必要があるでしょうね。私自身に関して言えば、毎日日本語を勉強していてある程度までは話せるので、インテグレーションを行うために単身で外出することもあります。日本語の必要性は、結局、仕事を自分一人で進められるという自由をどのくらい求めているかによると思います。

■KenさんはHWエンジニアですよね? SWとHWとの違いで戸惑うことなどはないですか?

Ken ありますよ。言っている内容自体についていけないことは結構ありますし、ましてそれが英語だったりするのでなおのことついていけない。でも、皆んなちゃんと教えてくれるし、フォローもしてくれるので、楽しみながらやれています。ただ、僕はHWエンジニアですが、いかにもHWな仕事をバリバリやっているかといえば実はそうでもありません。どちらかというとビジネスサイドにおける外部との窓口、いわゆる橋渡し的な役割を担うことが多く、協業先のエンジニアとの仕様決めの話し合いなどをメインでやっている感じです。

Gab Kenさんがチームにいてくれることで、お客様が期待することと私たちができることとの間に乖離がある場合にも、よりスムーズに折り合いをつけられていると思います。本当にたくさんの折衝をしてくれていて、ありがたいです。

チームで協力するから、苦労したことも楽しい思い出

今までに特に苦労したものなどあれば教えてください。

Jinze 異物を検査するプロジェクトでしょうか。そもそも検知すべき対象となる異物が肉眼ではなかなか見えないほど小さいというのが苦労しました。

Gab さらに食の中でも生ものであるという点にも苦労しました。日持ちする加工品であればサンプルを送ってもらえば済むし、市販されているものならこちらで買ってくればいい話ですが、今回の食材はそうはいきませんでした。あっという間に傷んでしまうので、写真を見て分析したりはしていましたが、データを入手したかったり何か試してみたかったりすると、やはり現場まで出向かなくてはならず大変でした。

Jinze そうは言っても、検査対象が何であれ、現場に足を運ばないとお客様の課題が見えてこないのは事実です。CRのロボティクスの開発と普通のウェブアプリケーションの開発との違いはまさにその点で、CRの旧コアバリューに「全ての答えはキッチンにある」というのがあったほどですから。

Gab そうですね。それに私は外国人ということもあり、現場に行けたことで観光気分も味わえて楽しめた部分もあります。

Jinze Gabさんと私の2人で夜中まで調整していたけれど、確かに結構楽しんでいましたね! 大変だったのも、今となってはいい思い出です。

Ken 大変な中でも皆んなが協力し合って働けるのでチームワークも良好ですよね。

Jinze Kenさんがジョインしてくれたので、営業チームとの連携もうまく行ってますしね。

理想的な仕事環境で、最先端の技術に触れる

■ 仕事のやり甲斐や醍醐味、楽しさといったものについてお聞かせください。

Ken 自分ががっつり関わったプロダクトが世に出たという経験がまだないので、そういった種類の達成感は残念ながら今のところ感じきれていません。でも、いいメンバーとともに仕事をしているということ自体が、前向きに取り組むモチベーションになっていると思いますね。

Jinze 私もKenさんと同じ思いです。優しくて、すごくやる気があるチームメンバーたちに囲まれて、毎日楽しんでいます。

Ken 自分にできないことがあると誰かに頼むじゃないですか。それを快く引き受けてもらったら、もしも誰かから何かを頼まれたときには自分もなんとかして力になろうと素直に思えます。誰もがMake Delightfulの精神でお互いを思いやって仕事をしているというのを強く感じられる、すごく理想的な仕事環境だと思います。

Jinze どんどん大きくなってきている検品チームですが、AIアルゴリズムを開発できる外国人メンバーが近々ジョインする予定で、さらにパワーアップしていく見込みです。エキスパートとジェネラリストの割合バランスも最適なところに近づきつつあって、そういう意味でも良いチームができてきているという実感があります。「プロダクトをローンチしたぞ!」という達成感に一日でも早く浸りたいですね。

Gab 私の考えも2人と同じで、チームの空気感がとても心地よいと感じています。
あれをしろこれをしろではなく、チームの皆んなが一致点を見出せるまで何度でも話し合う。俺が一番だみたいな人もいない。誰もが他のメンバーの意見に謙虚に耳を傾けます。また、最先端の技術を活用しながら仕事をするというのは貴重な経験ですし、お客様の望むものと私たちのできることとに差があり過ぎることもあったりして、退屈している暇がまったくありません!

学び、吸収しながら変化していける仲間と働きたい

■ これからどういった人と一緒に働きたいですか?

Gab せっかく一緒に仕事をするのだから、足を引っ張り合うのではなく、お互いに助け合えるような関係を築ければと思っています。実際、自分の仕事だけしていたいという人だと、AI検品チームの「チームのために」というマインドセットで働くのはちょっと大変だろうと思います。「これは自分には関係ない」といった線引きを私たちはしないですから。

Ken 人のために何かできる人、自分の担当外でもちょっと1歩踏み出して動ける人が来てくれたら嬉しいですよね。今のメンバーはそういう人ばかりなので、そういった人のほうが馴染めるでしょうし。

Gab 知識の点を不安に感じている人もいるかもしれませんが、個人的にはむしろ人間性のほうが重要だと考えています。もちろん最低限の技術的知識は必要かとは思いますが、人は学べるし、私たちも教えられます。

Jinze Gabさんも言うように、わからないことは教えてもらえばいいだけです。それぞれが違う分野のエキスパートだからこそ学び合える。私たちはそうやって学び合いながら仕事をしています。

CRという会社も私たちも、これからもどんどん変わっていく必要がありますので、知識に限らず新しい何かを積極的に吸収して変化していける人だといいなとも思います。

Gab 逆に知識はあるけど人間性の点でちょっと……というような人だと、一緒に仕事をするのは難しいかなとも感じます。

Jinze CRは技術で人を喜ばせようとしている会社なので、そこに意味や価値を見出せないとCRで働くのは厳しいかと思います。そういった意味で、技術云々ではなく、CRのコアバリューに沿った考え方ができる人、CRのミッションとビジョンに共感できる人がジョインしてくれたらと願っています。

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外国人メンバーも多く、極めて多様性に富むAI検品チームですが、ワンチームとしての結束を強く感じられる対談でした。

新メンバーが次々とジョインし規模が大きくなりつつある同チームですが、この「お互いに教え合い、助け合う」というチームのあり方、CRのあり方は、これからも変わらないと確信します。

AI検品チームの皆さん、本日はありがとうございました!