惣菜業界初、惣菜盛付工程へのロボット導入、現場運用に成功 ~「惣菜盛付ロボット」を製造工場に4台導入~
「食産業をロボティクスで革新する」をミッションとするコネクテッドロボティクス株式会社(本社:東京都小金井市、代表取締役:沢登哲也)は、経済産業省が推進する 「令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(※)」に採択された一般社団法人 日本惣菜協会(会長:平井浩一郎)より協力企業として選定され、「令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に参画してまいりました。
人手不足対応や生産性向上、非接触化を実現すべく多くの産業分野でロボットの導入が期待されていますが、その導入は、まだまだ進んでおりません。特に、惣菜製造工場においては、「盛付工程」に最も多くの人手が必要とされており、その工程の自動化は、喫緊の課題でありつつもこれまで長年にわたって実現できておりません。
ロボットを導入するためには、ロボットが稼働しやすい環境、言わば、「ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境」の実現が欠かせません。弊社ではロボットが盛り付けしやすいよう現場環境も考慮し、複数のユーザー7社とベンダー8社がタッグを組んだ研究開発を通して、長年実現できなかった惣菜の盛付工程を自動化する「惣菜盛付ロボット」を4台、現場導入するに至りました。
※「ロボットフレンドリーな環境の実現」にあたり組成された予算事業
■惣菜業界初、製造工場への「惣菜盛付ロボット」導入の実現
当社は「高度なロボット制御の技術」と「ディープラーニングを活用したセンシングと学習技術」の組み合わせで、これまでロボットではできなかった工程を自動化し、「食産業で働く人と食べる人の両方に喜びを提供するロボットサービス」の開発を進めてまいりました。現在、たこ焼き、ソフトクリーム、そば、フライドポテトなど複数の食材で実店舗でのロボット導入実績を持つ唯一の企業として、ロボットのハンドリングに関するソフトウェアとハードウェアそれぞれに強みと専門性をもっています。この事業におきましては、「惣菜盛付ロボット」の開発を、当社と㈱FAプロダクツ、日本サポートシステム㈱の協力の下で進め、マックスバリュ東海㈱の惣菜製造工場にロボットを4台導入することになりました。
<惣菜盛付ロボットの概要>
今まで、野菜などの不定形物や粘着性の高いポテトサラダのような食材をロボットが扱うのは技術的に難しいとされていました。また少量多品種で、曜日や時間帯によって段取り替えが多い惣菜製造工場では自動化が進んでいないという現実がありました。このロボットは、決められた重量の食材や具材をつかんで、製品トレイに盛り付ける作業工程を自動化することができます。また、惣菜製造工場の大幅な建て替えなどを行わずに、既存の製造工程ラインに導入することが可能になりました。
<惣菜盛付ロボットの特徴>
①定量を掴み、均一に盛り付けることが出来る。
食品コンテナの惣菜を指定されたグラム数で掴んで、製品用トレイに盛り付けることが可能です。例えばポテトサラダの中サイズの場合、1パックあたりの重量は100g〜115gとしてされており、その所定の重量以内に盛り付けることができます。ファミリー向けの大サイズや、一人暮らし向けの小サイズなどサイズ違いの盛り付けも、タッチパネルで指定して変更することができます。
②高速動作で盛り付けが可能。
既存の製造工程ラインのスピードに対応させて、スピーディーに惣菜を生産することが可能です。ポテトサラダであれば、惣菜盛付ロボット1台で1人分の作業を行うことができます。弊社のロボットは一般的な惣菜製造工場の1ラインに4台セットすることができ、現状は1時間で1000食分の生産を行う事ができます。
③1台のロボットで複数品種の惣菜に対応ができる
ロボット1台で複数品種の惣菜盛り付けの対応が可能です。例えば、粘着性の高いポテトサラダやクリーミーなマカロニサラダなど、食材が変わっても品種と重量指定をするだけで切り替えを行う事ができます。また、多品種製造の現場に対応すべく、食材に合わせた掴み方やロボットの動かし方で食材の余りが発生しにくいシステムを提供します。
④迅速な段取り替えができる
製造工程を担当する現場の作業者でも、スピーディーな段取り替えが可能です。惣菜盛付工程では商品の切り替えが多いことから段取り作業を急ぐ必要があります。それに対応するため簡単に商品選択ができるアプリを用意。また、迅速に段取り替えができるようにハンドの着脱が簡単にできるように工夫しています。また、惣菜を入れた食品コンテナやハンドは取り外して洗うことができるので、製造工程を清潔に保つことができます。
「盛付ロボット」の紹介はこちら
https://connected-robotics.com/products/planting-robot/
■本事業への参画の背景
惣菜・お弁当などの中食の盛り付け工程は自動化の難易度が高く、その工程の大半を人手で行っています。一方で、昨今の人手不足への対応、労働生産性向上への要求、工場における三密(密閉・密集・密接)回避のためには、作業工程の自動化が求められています。しかしながら、柔軟・不定形の食品を迅速に盛り付けることはロボットにとって極めて難易度の高い作業であり、その実現を目指すとなれば高度な技術を活用した高価格なものとなってしまうため、現場実装が進みません。そこで、ロボットにとって盛り付けしやすい方法や、掴みやすい包装容器の在り方等、ロボットを導入しやすい環境、言わばロボフレな環境を構築することが必要であることから、弊社は2021年9月より日本惣菜協会が代表となって取りまとめる本事業に参画。「惣菜盛付ロボット」の現場導入及び実用化を目指して、東京農工大学の水内研究室との共同研究も活用し、開発を進めて参りました。
弊社は本事業への参加を通じて、食産業におけるロボット実装モデルを各ロボット企業や各ユーザー企業と検討・試行し、ロボフレ環境構築の推進に貢献して参ります。
経済産業省 プレスリリース
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220329006/20220329006.html
日本惣菜協会 プレスリリース
https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/news/20220329/